【大人の社会見学】新たな水産物の拠点「イマイユ市場」を見学してきた
糸満漁港に2022年10月、水産物の流通拠点として新たにオープンした「沖縄県水産公社地方卸売市場」(通称:イマイユ市場)。ざっくり何をする場所かといえば、漁港に水揚げされた海産物のセリが行われる場所です。
このイマイユ市場、新しいだけでなく県内初の仕組みがいくつもあるのだそうです。通常だと2階からセリの様子を見ることしかできないのですが、特別に許可を頂いて内部の様子を見せて頂きました。イマイユ市場は何がすごいのか、何が新しいのか。本日は貴重な内部の様子をお届けしたいと思います。
コラボ企画
- JF沖縄魚市場有限責任事業組合
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イマイユ市場がある糸満港は県内唯一の第三種漁港で県外の漁船も受け入れているのだとか
https://www.jf-okinawa.jp/
県内初の「閉鎖型水産物卸売市場」
イマイユ市場の特色としてあげられるのが、県内初である「高度に衛生管理された閉鎖型水産物卸売市場」だということ。
これまでのセリは上の写真のような、広く開放された空間で行われてきました(開放型)。ただ、開放型だとどうしても衛生的な問題がでてきます。そういった問題を解決する仕組みがイマイユ市場には取り入れられているのだそうです。
まず、入り口には手洗いスペースと長靴の消毒が。入り口の自動ドアも手をかざして開ける非接触になっています。入り口と出口は別になっており、完全な一方通行。かなり衛生に気を遣っていることが分かります。
こちらが内部。めちゃくちゃ広いです。施設の大きさはだいたい7300平方メートルでちょっとした運動場くらいはあります。
青いパレットの上に並んでいるのは「フトモノ」とよばれる大型の魚。この日はほぼマグロでキハダマグロ、ビンナガマグロ(ビンチョウ)、メバチマグロが並んでいました。黄色いラベルは獲ってきた漁業者さんの情報、白いラベルには魚の重さが書かれています。また、衛生面を配慮して、魚は床に直に置かずパレットに置くこと、さらに木製のパレットを使わず、プラスチック製のパレットを使うことなどがルールとして決められているそうです。
マグロ以外ではカジキやシイラ、赤マンボウなんかが並べられていました。沖縄といえば近海でマグロが獲れるので冷凍保存することなく水揚げできるというのも大きな特長らしいです。
セリが終わった後の写真しか撮れなかったのですが、こちらはフトモノ以外の魚が並ぶ一角。
こちらは魚からイカやタコ、エビなど色々な種類の魚介類が並び、目が楽しいです。
モズクもありました。ちなみに漁業者だけでなく個人単位でもセリに出すことは可能らしいのですが、捕獲が禁止されているものや、漁業権の関係で漁協の組合員以外は獲れないもの、禁漁期間や大きさの制限などきちんとルールが決まっているのでご注意を(くわしくは沖縄県のサイトにまとまっています)。
と、ここでイマイユ市場の衛生のポイントをもうひとつ。イマイユ市場では3種類の水があり、1つ目は普通の水道水(上水)。2つ目は海から汲み上げてきた海水を紫外線殺菌した「紫外線殺菌海水」。3つ目は海水を電気分解して塩素を発生させた「電解水」。先ほどのイセエビの水槽などには紫外線殺菌海水を使用、セリが終わった後の清掃には電解水を使用するなど使い分けがされているのだそうです。
このあたりも最新の設備ならではですね。
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カジキのツノが切り落とされていますが、食べられないし邪魔なので切っておくのが一般的なよう。ツノの行方が気になります。
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セリにはGoProが活躍
続いて朝5時から始まったセリの様子も見てみましょう。まずはフトモノから。
ちなみにイマイユ市場では帽子の色でそれぞれの立場を明確にしていて、赤い帽子はセリ主催者側、黄色い帽子は仲買人となっています。
フトモノのセリの方法は1キロあたりの値段を小さな黒板に書いて提示して、一番高い人が購入できる「黒板ぜり」というちょっと変わった方法。全国的にあまりないらしいです。動画を見てもらえば分かりますが、サクサク進行していきます。動体視力のすごさよ。
動画にも映っていますが、セリの結果はタブレットで記録、管理されています。
対して、フトモノ以外は商品に対して口頭で値段を言って、一番高い人が購入できるという方式。
動画を見てもらいたいのですが、セリの進行をしている人の手にはボイスレコーダーが。口頭で値段を言い合う方法だと、あとで言った言わないが起こることがあるのできちんと録音しているのだそうです。
また、手に持った棒にはGoProが。棒につけておくことで、今どの商品をセリにかけているかを音声とともに記録しておき、トラブルがあったときに確認できる仕組みになっています。セリもDX化されつつあるということでしょうか。
セリが終わった魚は続々と搬出口からそれぞれのトラックに乗せられていきます。
セリ終了後の片付けの様子。床に水を流していますが、これが先ほどの電解水です。また、手前にフォークリフトが見えますがこれらは全て電気自動車。排ガスなども考慮されています。
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本当に流れるようにセリが進んで行きます。すごい。
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すげえ施設だイマイユ市場
以上、糸満漁港にできた「沖縄県水産公社地方卸売市場(イマイユ市場)」の様子をお届けしました。徹底した衛生管理故にセリ会場の中に入ることはできませんが、5時~12時までの間は開市日であれば2階からセリの様子の見学も可能です(開市日はこちらで確認できます)。
ずらりと並んだ魚が、どんどん競り落とされていく様子はなかなか圧巻ですので、一度見ておいて損はありません。早起きしないといけませんが、興味がある方は是非足を運んでみてください。4月くらいからはクロマグロも水揚げされるそうですよ。
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ものすごく衛生に気を遣った施設なんだなと思いました。当たり前のことですが、大事なことですよね。
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