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A1ソースを自作してみる
みなさんはステーキを食べに行ったとき、何をかけますか?
わさび醤油?ステーキソース?私はシンプルに塩コショウだけが好きです。
沖縄のステーキ屋さんに置いてある定番ソースといえば、このA1ソース。
ちょっと酸っぱめのソースです。この酸っぱさが好みの分かれるところ。
MADE IN ENGLAND
たまに「このソースをかければアメリカの味!」というキャッチコピーを見かけますが、A1ソースのAをアメリカのAだと勘違いしてアメリカ製のソースだと思っている方も多いはず。
でも実はイギリス製...!
ここでA1ソースについてお勉強。
それは1824年。イギリスの王様お付きのシェフであったヘンダーソンさんが、王様の為に特別に作ったソースがこのA1ソースの原型。王様はこのソースを大変気に入り「”A one”(最高)だ!!」と大絶賛したことに始まったとされる。
1831年にヘンダーソンさんは王宮を離れ、Brand & Co.という会社を作り、一般向けにソース類の製造販売を始めた。
しかしヘンダーソンさん、料理の腕はピカイチであったが商才はそうでもなかったため1850年に残念ながら倒産。
友人のウイズホールさんに会社を買収されることとなってしまったが、ウイズホールさんは友が手がけた商品が素晴らしいことを認めていたので、買収後もBrand & Co.の商品名を残して商売を続けた。
1862年にロンドンで開かれた国際博覧会。 そのソースはまたしても「”A one”(でーじ上等)だ!!」と絶賛された。
これを機に、ヘンダーソンさんのソースはアメリカへ知れ渡ることになる。
時は経ち1873年。 ウイズホールさんは会社をDence & Mason へ売却する。
この後、ソースの生みの親であるヘンダーソンさんとD&Mとの間で商標権をめぐるイザコザが起きてしまうが、
8年の後にはやっと解決、この時初めて「A1ソース」という名前が晴れて正式に世に生まれることとなった。
その後も現在に至るまで、A1ブランドの所有権を巡って買収や譲渡など色々と大人の事情があるらしいが、サンエーで購入した瓶にはヘンダーソンさんの名前で「H & W Brand's(=Henderson William Brand)」と書いてあり何だかホッとした。
イギリス王室に生まれ、後にアメリカへ渡り、そして今沖縄で愛されているA1ソース。
普段何気なく使っているけれど、その陰にはこんなに長い歴史が隠れていたのですね。
沖縄から見てみるとアメリカのソースであることは間違いではないかも。
ちなみに余談:最近ではバリエーションも増え、Originalの他 Thick & Hearty, Sweet Hickory, Bold& Spicy,
Cracked Peppercorn, Kobe Sesame Teriyaki, Supreme Garlic, Smoky Mesquite と8つもあるそうです。
A1ソースの味の決め手はモルトビネガー。日本ではあまり馴染みのないものですが、大麦とトウモロコシが原料の穀物酢で、イギリスでは一般的なもの。
フィッシュアンドチップスにドバドバ掛けるあれです。
レシピは原材料名頼み
A1ソースの作り方を調べましたがまったく出てきませんでした。
原材料名を頼りに作っていきたいと思います。
まずは野菜・果実(トマト、デーツ、たまねぎ)。
A1ソースのベースはトマト。甘酸っぱさのひとつはトマト。
続いてデーツ。
聞きなれない名前ですが、デーツとはナツメヤシの果実のこと。中東でよく食べられているそうです。
デーツを求めて本島内を探し回ったのですが見つけることができず。残念ですが代替品を使うことに。
代替品はレーズンで。
レーズンのお菓子。干しりんごや干しアプリコットも入っている物。
干したり完熟したデーツは、レーズンや干し柿の味が濃厚になった味に似ているそう。
レーズンとりんごを使ってみます。
どうせ作るなら何となく沖縄っぽさを出したかったのでゴーヤーを少々。この時点でA1ソースとは違うものになってしまうが気にしない。
トマトはホールトマトか湯剥きしたものを使う方法もあるそうだが面倒くさいそのままで。
玉ねぎは、すりおろすか炒めてから作る方法もあるが面倒くさいので今回は生のままで。
フードプロセッサーでシェイク。
ピューレ状になったら煮詰めていきます。
10分後
本当にできるのか不安になる。
ここでモルトビネガー!と行きたいところですが、残念ながらモルトビネガーも売っていませんでした(日本で販売しているのはハインツ社のみだはず)。
沖縄で売っているお店は少ない(10件近く回ったが売ってなかった)。味の決め手だったのに。。
仕方ないので家にあった穀物酢を使用。モルトビネガーも穀物酢。
煮詰めたピューレ状のソースに穀物酢を入れてさらに煮詰めていく。
茶こしですけどね。
火から下ろし粗熱を取ったら裏ごしして完成。
トマト1個・玉ねぎ1/4個・ゴーヤー少々・レーズン・りんご・穀物酢。
ゴーヤー入ってるしモルトビネガーも使ってないので、もうA1ソースとは呼べない。
なのでDEE1ソースということにして試食したいと思います。
いざ試食へ
DEE1ソースを持って向かったのは、創業59年の老舗ジャッキーステーキハウス。みなさんご存知ですよね。
このNo.1ソースは、ジャッキーステーキハウスと木戸食品が共同開発したジャッキーオリジナルソース。
A1ソース派とNo.1ソース派がいる。
味の違いは、A1ソースは酸味が強く少し甘い。No.1ソースは甘みが強くて酸味はそこそそこ。
No1.ソースの原材料。「その他」が知りたいのに。
A1ソースと比べるといろいろ入ってますね。
血も滴るとはこのこと。
ジャッキーのステーキって焼き加減をレアで注文すると、ほぼ生肉ででてきます。
でも運ばれてきたらすぐに裏返し1分くらい待つと、ちょうど良い焼き加減になるので、生肉じゃないか!ってクレームは言わないように。半分食べ終わった頃には余熱でミディアムくらいになっている。
DEE1ソースかけてみる。
DEE1ソース結構美味しい。薄味なので大量に付けないと味がしないけど。
酸味が強めで甘みもそこそこ。ちょっと似た味が作れた。
歴史があるソースを作るのは簡単じゃない
いまから200年近く前に生まれた伝統あるA1ソース。素人が1時間弱で作れるはずがない!と思いましたが、意外にも似た味が出せた(程遠いけど)。材料さえ揃えることができれば、かなり近い味に作れるはず。
今回の豆知識
A1=A one(でーじ上等やっさーの意)