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旧盆が終わればヌーバレー
石垣島では「アンガマ」「白保の獅子舞」が行なわれた旧盆。
本島でも各地でエイサーの音が響きわたり賑やかな3日間が続きましたが、
3日目のウークイ(送り)でご先祖様が無事にあの世へ戻っていただければ、旧盆はおしまい。
の、はずですが、本島南部には、うっかり帰り忘れてしまった霊、そして誰にも見送ってもらえなかった無縁仏をもてなしてあの世へ帰す「ヌーバレー」という楽しくて温かい神事があると聞いたので行ってきました。
ヌーバレーとは?
ヌーバレーは旧盆明けの翌日、南城市内の各地で行われます。
地域に伝わる伝統芸能を披露し安寧と五穀豊穣を祈願する行事であり、無縁仏をあの世へ帰す神事でもあります。
現在ウークイの翌日に行なわれる地域は、知名・安座真・久手堅の3地域。
夕方から道ジュネーがあり、その後、地域住民によって様々な舞台芸能が夜まで演じられます。
久手堅ヌーバレー
舞台芸能がはじまったばかりに着いたので、まだ席が空いていたりはしましたが、地域の人が楽しそうに見ているのが印象的でした。
「主催者発表では会場に3万人来ているそうです」という司会者の方のギャグに大喜びするおばあちゃん。
プログラムには琉球舞踊の中に、ハワイアンフラなどもあります。
もっと見たいですが次の会場に行ってみましょう。
安座真ヌーバレー
安座真地区では公民館の中で演目が行なわれていました。
こちらも地域の方がたくさん集まっておられます。
てんじょうの万国旗がステキ。
演目5番の「人生前向き」ってどんなんだろう。
知名ヌーバレー
足早に久手堅と安座真をまわった後は知名地区に来ました。
知名ヌーバレーは約200年の歴史があるそうです。規模も最大級。
知名地区では公民館ではなく、公民館から山の方にあがっていった先にある、英魂之塔側の広場通称「あしびなー」で行なわれます。
観客席は階段状になっていて舞台が観やすいのです。
知名の踊りにはコミカルな動きが多い気がします。
「松竹梅」という踊り。松役のひとは頭に松をつけています。
美しい梅役の女性。
松竹梅が揃って手を横に振りながら歩きます。
同じく松竹梅
今後は鶴と亀が出てきました。
えっとなんでしょう。
ひとつひとつの動きは丁寧でとても美しいのに、なんだか動作が変。
真面目な顔して笑わせてくる人たちのようです。
「百姓ヌ按司」
ヌーバレーの出演者はすべて地元の方。
周りから「あい!xxxさんが踊っているよ」のような声が聞こえてきます。
知り合いが出てたら楽しそう。
お父さんでもいるのかい?
「下がり口説」
ヌーバレーの演目は久手堅、安座真では10〜20、知名では30演目ぐらいあります。
どの演目もクオリティーがたかく地域のお祭りとは思えないほど。
そして舞台も佳境になってきた頃、この方たちの登場です。
蝶と青年。
不思議な衣装、不思議な踊りは無形文化財に指定されている「胡蝶の舞」。
この人たちが何をするのかというと、
コサックダンスのような動きで舞台を舞います。
あまりの激しい動きに高校生しかできない踊りだそうです。
ちなみにヌーバレーの演目で胡蝶の舞があるのは知名地区だけ。
スタッフの方に「どうして知名地区だけでやるんですか?」と聞くと
「よくわからないけど、昔の人が自分たちで創った踊りだからじゃないかなー」とのこと。
胡蝶の舞は創作ダンスだったのか!
あの兄ちゃんたちの動きヤバくね?
バサバサバサ〜
次第に引きつってくる青年たちの顔と、もっとやれー!という観客からの声援で
胡蝶の舞はものすごく盛り上がります。
そして知名ヌーバレーの最後の演目は胡蝶の舞の喧噪が噓のように静まり返る「仲里節」。
こちらも無形文化財に指定されているそうです。
四つ竹を持った琉装の女性による厳かな美しい踊りに息をのみました。
すべてが終わったら演者さん、観客入り乱れたカチャーシ。
終わったのは夜10時すぎぐらいでしょうか。
この後はご先祖様が舞台で踊って唄って楽しんだ後あの世に帰って行くので、生きている人はすぐに退散しないといけないそうです。
もっと見たい
今回は1人でまわったので知名地区の有名な踊りしか紹介できませんでしたが、久手堅ヌーバレーでは感動で思わず涙が出てしまう踊りがあるらしいし、安座真の道ジュネーも面白いらしいです。
また違う日に行なわれる津波古のヌーバレーにはみるく様が飴をくばってくれるとか、なんとか。
ああ、もう一言でいうと時間が足らない!
沖縄の文化はやはり、知れば知るほどラビリンスです。