- DEEokinawaトップ
- 特集
- ウークイの夜に中野さんのお宅にお邪魔してきた
ウークイの夜に中野さんのお宅にお邪魔してきた
ウークイとは日本語で「お送り」
旧暦の7月15日、旧盆の最終日に先祖をあの世へお送りする行事です。
その前に
「中野」という名字だけ聞くと沖縄ではなく日本名のようですが、中野お父さんの出身地、平安座島(へんざじま)では分家するときに日本名を付けるのが流行った時期があったそう。
中野家も旧家は「仲桃原」さんだったそうです。
沖縄出身で日本名字の人は平安座島出身者なのかもしれませんね。
沖縄のお仏壇
お仏壇の前には重箱に白餅ぎっしり、おかずは全部で7品あるそうです。
おかずは揚げ豆腐・ごぼう・こんぶ・かまぼこ・こんにゃく・天ぷら・三枚肉が入っていました。
平安座島特別仕様
海の近くなのでサシミをお供えする習慣があります。
こちらも平安座島特別仕様「タマンの塩漬け」
このようにお仏壇に魚のお供え物があるのは珍しいらしいです。
トートーメー(位牌)
おじいちゃんが好きだったウィスキーとタバコなどの趣向品も合わせてお供え。
線香は旧盆中絶やさないようにします。
親戚からのお供え物もいっぱい。
両端に見えるサトウキビはあの世からこの世に帰ってくるときは杖として、あの世に戻るときは数々のお供え物を担ぐ担ぎ棒として使うそうです。
あれ?あの世に戻るときは杖をつく必要はないの?
他にも頭に物をのせるガンシナもあります。
「こんな風に乗せるんだよ」と説明してくれる中野父さん。
小さく切ったサトウキビもありました。
これは戻るお家がなくなってしまって手ぶらでいる霊に、お裾分けが出来るように用意してあるそうです。
それでは先祖をお送りしましょう
中野さんのお宅ではウークイのギリギリまでこの世でゆっくりしてほしいという気持ちからお送りは日が変わる直前の12時前に行うそうです。
ちなみに旧盆初日のウンケー(お迎え)の日は朝5時に平安座島のお墓まで先祖を迎えに行ったそう。
この気持ちだけで嬉しいはずですね。
まずは仏壇から窓辺にお仏壇のものを移します。
その場にいる人全員から線香をもらいます。
沖縄の線香は「ヒラウコー(平御香)」といって黒く平たいのが特徴。
原料は車麩を作る工程ででるデンプンだそうです。黒いのは木炭を入れるためだとか。
車麩と線香は親戚。ここテストに出ます。
また来年も来てくださいね。
うーとーとー。
ウチカビを焼きます。
※ボーボー燃えてますが家の中です。
ウチカビは紙に銭型が押してあるあの世のお金。ウチカビをいっぱい燃やせばそれだけご先祖にお金を持ち帰ってもらえるというわけです。
中野お父さんは「このお金であの世までのジェット機代にしてくださいねー」と言っていました。
ゴージャス!
帰りはサトウキビの杖をつかなくてもジェット機があるから楽ちんってことだったのですね。
「これは○○のおばあちゃんからね」と親戚の名前を言い、どこからの送金かわかるようにしていました。
でも最終的には燃やすウチカビが足らなくなり「その他大勢からより」で締めていました。
親戚の多い沖縄ならでは。
燃えてます。
何度も言いますが家の中です。危険じゃないのかな。
送金中
お供えしていたご飯やおかずも焼きます。
そして外に。
玄関先に燃やしたウチカビ・料理と、持って帰ってもらうためのガンシナ、そして花を置いて手を合わせて最後のお別れ。
うーとーとー。
これでウークイの行事は終わり。
家に入るとなんだか家の雰囲気が変わっているような気がしました。
「ご先祖様が帰ったらわかるよね」と中野お母さんが言ってました。
中野さんのお宅はトートーメーがあるので親戚が集まることが多く、冷蔵庫は大型が2台。
中野さんと大型冷蔵庫。
ご先祖と親戚一同、何人分のおもてなしをしたのでしょう。
顔にやりきった感がみなぎってますね。
この後、お供え物のお裾分けとしてお饅頭をひとつ頂きました。
中野さんのご先祖さまとご家族、親戚の方に感謝しながら。うーとーとー。
蛇足です
ウチカビは黄色い和紙に型を押したらそれっぽくできると思うのです。
そんな風に作ったウチカビはあの世では偽札になるんでしょうか。
検証したくてもあの世には行けないので知ってる方がいたら教えてください。